[商標]“登録された商標を誰でも使用できる?”
-慣用商標化した商標は商標権侵害に該当せず
“プルダック(불닭)”は2000年代に商標として登録された。“プルダック”は、辛さを好む若者たちのクチコミにより一瞬にして新たなトレンドとなり、人々は“ブルダック”を辛い鶏料理として認識し始めた。
このような流通市場の状況で、後発企業の商標“ホンチョプルダック”が、先行商標である“プルダック"の権利範囲に属さないという、いわゆる(消極的)権利範囲確認審判及び訴訟の形態で提起された。商標権紛争で法院は“プルダック”が既に料理名として広く認識されており、よって、“プルダック”を使用した後発企業は商標権を侵害したわけではないと判決した。
商標の慣用商標化は、登録された特定の商標が有名になりすぎ、その名前が需要者の間で関連商品を呼ぶ普通名称として使われるケースをいう。商標の慣用商標化は特定業界や商品群内で一つのブランドが際立って人気が高い場合に発生しやすい。
“プルダック”だけでなく“チョコパイ”も、商標の慣用化の代表的な例としてあげられる。子供の時から一度は食べたことのあるチョコパイとは、だれもが丸いパン菓子にチョコレートをコーティングし、真中にマジュマロを挟み入れた形の菓子を思い出す。当初チョコパイは新しく発売された菓子の商標であったが、競合他社がチョコパイという名称を製品名として使用した時に適切に対応できなかったため、慣用化したものである。
商標の慣用化を防ぐためには、商標権者が商標と商品名を明確に区分できるよう商標を積極的に管理することが重要である。
有名な製薬業者であるAllergan Aestheticsは、マスコミに独特な協力依頼文を送った。それには、最近韓国内の製薬企業間の紛争対象となっている医薬品の名称は‘Botox’ではなく‘botulinum toxin’であることを明確に説明し、今後これと関連した報道では該当名称を使用することを要請する内容が記載されていた。
このように新しい類型の商品に使われた商標の場合、慣用化する可能性がより高い。消費者は、見慣れない新しい商品を商品名の代わりに商標で指称する傾向にあるからである。
これを防ぐために商標権者は、他人が無断で商標を商品名のように使用する場合、迅速に商標権侵害の禁止を請求するか、必要に応じて、侵害による損害賠償を請求することで他業者が無分別に商標を使用することを制止する必要がある。
これと同時に、消費者やマスコミが商標を商品名のように使用する場合、持続的な広報により該当名称が商標であるという事実と別途の商品名を消費者とマスコミに知らせることも重要である。
新しい類型の商品が急増しており、商標が商品名と認識される可能性もかなり増加しているので、これに対する商標権者の管理がこれまで以上に重要である。商標権者は、商品名と商標が明確に区別されるように商標を積極的に管理することが自身の商標の保護において最も大事な事項であることを心掛け銘記しなければならない。