韓国特許庁は、最近、発明者が’DABUS‘という名前で記載された国際特許出願(PCT出願)の国内段階進入出願に対し、’自然人ではないAIを発明者として記載したのは特許法に違背するので、発明者を自然人に修正せよ’という補正要求書を通知した。すなわち、AIが該当発明を直接発明したのかを判断するに先立ち、AIを発明者と記載した形式上の欠缺を指摘したのである。
ヨーロッパ、米国などでは関連した出願件が審査された履歴はあるが、韓国ではAIが発明者になり得るのかに関する最初の特許審査事例である。
当該発明の出願人は、自身は当該発明と関連した知識がなく、自身が開発した‘DABUS’が一般的な知識に対して学習した後、食品容器等2つの異なる発明を自ら創作したと主張しており、容器の結合が容易で表面積が広く熱伝達効率の良い食品容器と、神経動作のパターンを模倣して目立ちやすくした光を出すランプというのが、各々の発明の核心である。
韓国特許法及び関連判例は自然人だけを発明者として認定しており、自然人でない会社は法人、装置等は発明者として表示できないということを明確にしている。すなわち、プログラムの一種であるAIは自然人でないので、発明者になり得ない。このような原則は、米国、イギリス、ドイツ等を含むあらゆる国家で採択している最も基本的で共通な概念でもある。
関連の出願は、韓国より先にヨーロッパ特許庁や米国特許庁、イギリス特許庁でも既に特許審査を受けたが、当該各国特許庁はいずれも、一貫して発明者は自然人だけ可能なので、AIは発明者になり得ないことを理由に、特許を受けることができないと決定した。
今のところは、AIを単純な道具とみなすのが国内外の多数の意見であるが、技術の発展によりAIが発明を創作したとみなせる状況が到来する可能性もあるので、関連業界での議論が活発になっている。
これと関連して韓国特許庁は、法制諮問委員会を設け、産・学・研の意見を取り入れ、これと共に、世界知的所有権機関(WIPO)と先進5ヶ国特許庁(IP5)会談を通しての国際的議論にも積極的に参加する予定であると言及しており、現在AI発明をめぐる核心の争点は、AIを発明者としてみなせるのか、AI発明の権利者は誰にするのか等が挙げられる。