2018.3.29.にて韓国大法院は、下記商標の類似の可否を判断するにあって、各犬の横姿形状の図形部分は独自の識別力を発揮する要部とみなすことができないので、全体として対比すべきであると判断し、各図形部分を要部と見なして両標章が類似すると判断した特許法院の原審判決を破棄還送したことがある。
大法院2018.3.29.宣告2017フ2697事件の標章との対比 |
|
|
|
しかし、最近特許法院は、上記のような大法院の判示内容が‘図形部分の識別力を否定’するわけではなく、両商標間の類似如何を判断する際に、各標章の犬の図形部分だけを分離した上で比較するのは適切でなく、標章全体として観察すべき‘旨であるだけと限定して解釈する判決を下した。
上記判決において特許法院は、上記大法院の判決で犬の図形部分を要部とはみなせないと判断しても、下記のような構成の登録商標は多く使用される図形でないだけでなく、犬の形状を表現するにおいて各部位を独自的かつ特徴的に表現して全体的に需要者の注意を引くよう独創的に考案された商標であって、その外観上の識別力が認められ、指定商品との関係及び取引社会の実情等を鑑みるとしても、社会通念上自他商品の識別力を認めることが困難であるか、公益上特定人にその商標を独占させるのが適当でない商標であるとみなす根拠がないと判断した(特許法院2019.8.29.宣告2018ホ9466判決)。
特許法院2019.8.29.宣告2018ホ9466登録無効(商標)事件の標章 |
|
このような特許法院の判断は、図形商標の場合、全体的な構成にいて独創的な要素があれば識別力を認めるべきであるという基本法理を再確認する一方、‘商標の類似の判断においては全体観察によって混同が可能であるか否かを判断するのが原則であり、図形部分を要部として観察できるか否かと、図形部分の識別力の有無とを同一視すべきではない’という法理を明らかにしたものと見られる。